つらい気持ち　

「死にたい」「消えたい」。つらい時や苦しい時に誰しもがそう思ってしまうものです。もちろん子ども達も例外ではありません。子ども達は純粋無垢がゆえに、自分が発した言葉の重みがわからず、不用意に相手を傷つけてしまうこともありますし、SNSが発達した昨今では見ず知らずの人から誹謗中傷される場合もあります。ある程度精神的に発達していくと「上手いかわし方」ができるようになるかもしれませんが、子ども達には難しいでしょう。すべてを正面から受け止めてしまい、周囲へ「死にたい」と話すこともあるでしょう。平成29年度の調査では10歳～14歳の子ども達に一番多い死因は自殺ですので、死にたい気持ちを抑えきれず、実際に行動に移してしまう子がいるのも事実です。そんな時私たち大人はどのように子ども達に接すればよいのでしょうか。

対応方法

　はじめに注意してほしいのは「死にたいって言ってる奴ほど死なない」と安易に考えてはいけないということです。確かに冗談で言ったり、軽い感じで話す子もいます。特に小学生は強い言葉を使いたがるのでそういったケースもあるでしょう。しかし、もしかしたら追い詰められ、必死にひねり出した「死にたい」かもしれません。大したことないと思い、軽くあしらってしまうと、子ども達は「話を聞いてくれないんだ」「自分は必要とされていないんだ」と誤解し、ますます死にたい気持ちが大きくなってしまいます。たとえ冗談で言ったとしてもまずは受け止め、話を聞いてあげてください。

理由

　死にたい理由が学校にあるなら、担任の先生をはじめ、保健室の先生やスクールカウンセラーに相談してください。一番大切なのが保護者だけで抱え込まないことです。子どもの前に親がつぶれてしまっては元も子もありません。なるべく多くの大人と共有するようにしましょう。学校には「チーム内守秘義務」という考え方があり、よほどのことがない限り学校だけの独断で当事者（例えばお子さんがいじめられているなら、いじめ加害者）を呼び出して指導するなんていった強引な方法はとらずに、見守りの強化やそれとなくの注意喚起、次年度からのクラス編成といった対応をしてくれます。

　また、精神科を受診することも検討すべきでしょう。「死にたい気持ち」の背景にはうつ病などの病気や発達障害がある場合があります。少しハードルが高く、本人も難色を示すかもしれませんが、少しでも楽になる方法があるなら試さない手はありません。

　こちらはハードルが高いかもしれませんが、環境をがらりと変えていくのも方法の1つです。学校を変える、フリースクールや適応指導教室に行ってみる、引っ越しをしてみる、学校のことは考えず家の中でゆっくりしてみる等、人それぞれだとは思います。

もちろん学校に行かせたい、将来が心配という親心もわかりますが、自殺という道を選んでしまったら最後、もう取り返しがつきません。一方で、勉強や社会経験の遅れは後回しでもどうにかはなります。ゆっくり、その子のペースで進んでいくことが一番の近道なのではないでしょうか。

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ハートライン沖縄クリニック　医師　院長　吉澤