カウンセリングの進み方と注意点
ブログ 2023.01.26カウンセリングとは?
日本人にとってまだまだ敷居の高いカウンセリング。お子さんの行動や発達に心配事がある保護者の方は一度勧められたものの、なんとなく行きにくさを感じたこともあるのではないでしょうか。「カウンセラーに今までの育て方や自分自身を否定されたらどうしよう」「自分や子どものことを正直に話すことに抵抗がある」といった声はよく聞きます。しかしカウンセリングを受けることで子ども達との向き合い方やそれまでの考え方が変わり、生活が楽になる例もたくさんあります。今回は「カウンセリングの進み方と注意点」と題して、具体的にカウンセリングがどのように進んでいくのかと、カウンセリングに対するよくある誤解等の注意点についてお話していきます。
カウンセリング内容は?
「カウンセリングで子どもの相談をしてもいいの?」という疑問を時々耳にします。たしかにカウンセリングと聞くと、うつ病などの心の病気に対してアプローチする印象が強いですよね。自分の相談したいことがカウンセリングでどうにかなるものなのか不安に感じると思いますが心配いりません。そもそも「つらい」「誰かに話を聞いてほしい」と思っているならそれはカウンセリングの範囲内に入ります。また臨床心理士や公認心理師といったカウンセラーは不登校や発達障害といった問題や子ども達の発達段階とそれに応じた適切なかかわり方についての知識を持っているため、安心して相談できます。
カウンセリングは大抵の場合、お子さんや家族の成育歴(どのように育ってきたのか、幼い時から現在にかけてどんなお子さんだったのか)の聞き取りから始まります。特に子ども達が抱える問題というのはいろいろな要因が複雑に絡み合って起きる場合がほとんどですので成育歴の聞き取りは丁寧に行います。その後、悩んでいること、困っていることについて自由に話してもらい、問題解決に向けて進んでいきます。おおよそ1回50分となっており、問題が複雑な場合は初めの1回のみで解決するということは稀ですので、長い時間をかけて取り組んでいくことになるでしょう。回数を重ねることで徐々に深く問題にアプローチすることでお子さん自身や保護者の方の考え方や行動を少しずつ変え、よりよい方向へ進めるようにお手伝いをしていきます。「本人が嫌がるので保護者だけ」というケースも珍しくはありません。その際にもきちんと変化はしていきますので、前向きに検討してみてください。
最後に
最後にカウンセリングに対するよくある誤解ですが、カウンセリングはあくまで「問題に対してともに考えていく」ものですので、「こうしなさい」「こうするべき」といったアドバイスは原則的に行いません。「具体的なアドバイスが欲しい」という気持ちもわかりますが、お子さんによって問題点は異なりますし、「別の子に成功したからといってこの子もうまくいく」というものでもありません。個別の対応が必要ですので、「こういうやり方でうまくいった例がありますが、お子さんの場合はどうですかね」と提案する場面が多いと思います。この部分を押さえておかないと「何とかしてくれると思ってたのに、何も教えてくれなかった」といった不満につながるかもしれません。また、カウンセリングは有料のものが多く、時間が限られています。先ほど出てきた成育歴や話したい事・相談したいことは事前にある程度まとめておくとスムーズにカウンセリングが進むでしょう。手書きのメモやパソコンでまとめてくるクライエントさんも珍しくはありませんので、用意できる場合は持って行った方がよいでしょう。
とある先生の口癖で『「話す」ことは「離す」こと』という言葉があります。心の中で抱えていても問題は解決することなく、むしろ状況がどんどん悪くなり、手遅れになってしまう場合や、自分達だけで抱えすぎて保護者の心が疲れてしまう場合もあります。少しでも吐き出し、気持ちの整理をつける場としてうまくカウンセリングを活用してみてください。
ハートライン沖縄クリニック 医師 院長 吉澤