文章問題が苦手なお子さんへの対応
ブログ 2023.01.28「計算はできるのに、文章問題になると全然できなくなる」というお子さんは一定数いらっしゃいます。毎回間違えてくると、親御さんもイライラしてしまい、「ゆっくり読みなさいって言ってるでしょ!」「少しは落ち着いて!」なんて小言も言いたくなりますよね。言われてなおせるならいいですが、もしかしたら子ども達も悩み、苦しんでいるかもしれません。今回は文章問題が苦手なお子さんのタイプと、考えられる対策などをご紹介していきます。
文章からの把握
ケアレスミス等を除けば、一番多い理由として「文章から数を掴めない」ことがあげられるでしょう。「りんごが3個ありましたが、1個食べました。残りは何個でしょう」という問題だと、「りんごが3個」「1個食べた」ということを頭の中で整理しなければなりません。これが難しいお子さんが意外と多いのです。発達的にまだそこまで至っていない場合もありますので、そういったお子さんには絵を描いてあげたり、実物を見せながらやり取りすることでイメージする力を身につけさせるといいでしょう。単元が進むにつれて、分速や時間などの概念も出てきます。少しずつ現実とリンクさせ、慣れさせていくことが大切です。
発達特性
また「発達特性をもっている」ことも考えられます。例えばADHD傾向のあるお子さんの場合は「早くしなきゃ」と焦ったり、問題文を目で追ってはいるものの別のことを考えている場合があります。そのため出てきた数字を単純に足したり引いたりするだけで的外れな答えとなってしまうのです。また学習障害のお子さん場合は、文字を読むことだけに意識を集中させすぎてしまい、内容が頭に入ってこなかったり、そもそも問題文が読めない場合があります。これらの場合はいくら本人を責めても問題解決にはなかなか至りません。これらの場合は周囲の大人の配慮や環境調節が重要になってきます。焦ってしまうお子さんの場合は「時間配分を一緒に考えながら行う」「文章問題は最後にゆっくり解く」といった時間の使い方を練習していく、別のことを考えてしまうお子さんには、1問ずつ提示する、他の問題を隠すなどの工夫が考えられます。これらは対処療法ですので、他にも症状があるのなら医師の指導の下、薬物療法や療育での訓練を行っていく必要があるでしょう。学習障害のお子さんの場合は、補助員を付けてもらう、タブレットなどで読み上げ機能を使う等の支援が考えられます。
これらの配慮があるのとないのとでは大きく違ってきます。今はまだ「算数やだな」「授業つまらないな」で済んでいるかもしれませんが、成長するにつれて不登校やひきこもりなどの二次障害に発展する可能性も十分考えられます。子ども達は知らないことの方が多いです。自分がどうしたら生きやすくなるのか、過ごしにくいと感じる要因は何なのかなんてわかりません。私達大人が教え、色々な選択肢を提示していくことで初めてわかってくるのです。タブレット学習が普及する等、ひと昔に比べれば大分支援を受けやすくなりましたが、まだまだ受け身のままでは手厚い支援を受けられる世の中ではありません。手探りで失敗することもあると思いますが、すべて子どもたちの中に蓄積していきます。ぜひ色々な方法や支援を試してあげてください。
ハートライン沖縄クリニック 医師 院長 吉澤