悩みの相談について
ブログ 2023.02.15いじめや登校渋り、登校拒否…。これらの問題が起きた際に、皆さんはどうしますか。大抵の方は担任や養護教諭、教頭や校長の管理職、そしてスクールカウンセラーに相談すると思います。しかし、問題が複雑だったり関係者に知られたくないといったケースだと、誰に話していいのか、話してしまった場合、他の人に話が漏れないか不安になることもあると思います。相談したことによって問題がさらに悪化してしまってら元も子もないですよね。
守秘義務
そんなことが起きないように、学校の先生達には秘密を守らなければならないという「守秘義務」が存在しています。しかし守秘義務だからといって全てが秘密になっているかというと実は違います。今回は知っているようであまり知られていない守秘義務について説明していこうと思います。
皆さんがイメージしているように、学校の先生はもちろんのこと、医療関係者やその他個人情報を扱う職種は、業務上知りえたことを正当な理由なく他者へ漏らしてはいけません。医師や教員は守秘義務について法律に明記されており、処罰の対象となります。それほど個人情報は固く守られています。
しかし学校の場合は少し異なります。例えばスクールカウンセラーがいじめの相談をされたとして「親やほかの先生には絶対に誰にも言わないで。」と児童からお願いされたとしましょう。この場合、担任の先生や校長先生に何も言わず、スクールカウンセラーだけで何とかしなければいけないのでしょうか。
答えはNoです。スクールカウンセラーや教員は管理職である校長や教頭に報告義務があります。学校で起こる問題は様々であり、とても1人の職員で何とかできるものではありません。1つの問題に対して何人もの大人がチームとなって取り組まなければならないのです。そのため情報を共有しなければなりません。
情報共有の必要性
エスカレートすると自殺やリストカットのような自傷行為やストレスが爆発したり恨みが募って報復する等、相手を傷つける可能性もあります。そのようなことを未然に防ぐためにも複数人で情報や状況を共有しておく必要があるのです。
このように問題解決のために複数人で情報を共有しつつ、情報を外部に漏らさないことを集団守秘義務といいます。
この集団守秘義務に対する知識がないと、トラブルに発展する可能性があります。「1人の先生にしか話していないことが、いつの間にかほかの先生にも伝わっていた」「信頼してるから話したのに裏切られた」と感じてしまい。学校に不信感を抱いてしまうでしょう。
しかしここでご理解いただきたいのは、教員やスクールカウンセラーは万能ではないということです。1人でできることは限られており、困っている児童や保護者に救いの手を差し伸べることはできません。色々な職員が協力して初めて適切な支援を行うことができるのです。ですので「この人なら自分を助けてくれるかも」と思える人に出会えたなら、一度その人を信じてあげてください。そのうえで「誰になら話してもいいのか」「どこまでなら話しても大丈夫か」をしっかり決めたうえで、「最終的にはどうなりたいのか」を伝えていく必要があります。
今回は集団守秘義務について書かせていただきました。デリケートな問題なほど、公にしたくないという気持ちはよくわかりますが1人の先生に支えてもらうよりもたくさんの先生に協力してもらった方が現状がよくなることは言うまでもありません。守秘義務について「そういうものなんだ」と理解したうえで「でもこうしてもらいたい」「これはしてほしくない」と伝えれば、きっと先生方も力になってくれるのではないでしょうか。
ハートライン沖縄クリニック 医師 院長 吉澤