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ブログ

こどもが情報を正しく判断できない場合には?

ブログ 2023.02.17

情報を正しく判断できているかどうかを知るためにはWISCという検査があります。

学校や療育施設でWISCを受けるように勧められ、受けてみたはいいけど結果がよくわからなかったという保護者の方は結構いらっしゃいます。

WISCとは? 下記が当法人の東京クリニック内に記載がありますのでご参照ください。

WISCの結果の伝え方は受けた場所によってまちまちで、無料で検査・フィードバック(結果から何がわかるか、どのような支援があるとよいかの説明)をしてくれるけど内容があっさりしているところもあれば、びっしりと所見を書いてわかりやすく説明してくれるけど、検査費とフィードバック料金がそれなりにするところなど様々です。また、聞いたときはわかったつもりでも、家に帰って整理するとなんだかよくわからなくなることも珍しくありません。

ワーキングメモリー

 そこで今回はWISCの指標の1つであるワーキングメモリーに焦点を絞り、そもそもワーキングメモリーとは何か、ワーキングメモリーが低いとどのようなことが起こるのかについてお話していきます。

 まずはワーキングメモリーについて説明していきます。ワーキングメモリーとは目や耳から入ってきた情報のなかで重要なものを選択し、それを頭の中にいれたまま別のことに情報を使う力のことです。ワーキングメモリーが必要とされる代表的な場面として「板書を書き写す」が挙げられます。子ども達は「先生の話や黒板の文字を一時的に記憶」したまま「ノートに書く」という動作をしています。ワーキングメモリーが普通、もしくは高い子どもは聞く・見る・書くという3つの動作をスムーズにこなすことができますが、低いこの子の場合は、覚えられる情報が少ないため、聞き逃したり、何度も黒板を見て確認しなければならなかったりしているため、ノートをとるスピードが遅いため、内容を理解する暇がありません。誤字脱字も多く、字もきれいでない場合がほとんどです。さらに情報の選択も上手ではないため、外の様子や廊下の音など関係のない刺激に意識を取られてしまい、「話を聞いていない子」とレッテルを貼られてしまうこともしばしばあります。

支援方法

 では、そんなお子さんにはどのような支援ができるのでしょうか。まずは余計な刺激を与えない環境作りをしましょう。学校であれば教室の全体が見渡せる後ろの席よりも、黒板や先生との距離が近い前の席にしてもらう、指示は「短く、簡潔に、繰り返して」出してもらうといいでしょう。例で挙げた板書については、たくさんの文字をノートに移さなくてもいいように穴埋め式のプリントにしてもらう、タブレットで写真を撮らせてもらうなどの支援が考えられます。

また、耳で得た情報を保持する聴覚性ワーキングメモリーよりも目で見た情報を保持する視覚性ワーキングメモリーの方が高いお子さんが多いように感じます。これは口頭で言われたことを覚えておくよりも、書いてあることを覚える方が、何度も確認できるためです。そのため覚えておいてほしいことはメモに書いていつでも確認できるところに貼っておくことも有効な方法です。スマートフォンなどで音声録音やリマインド機能などを自分で使えるようになると困り感はぐっと減るでしょう。

 本日はワーキングメモリーについてできるだけ具体的にお話ししましたが、いかがだったでしょうか。一口にワーキングメモリー低いといっても、お子さんの環境やWISCでわかったほかの指標の高低で変わる部分があります。場合によっては検査結果をお子さんのことをよく知っている心理士や教員に見てもらうことで、「こういうことも考えられるよね」「こんなことをしてあげるともっと楽になるかもね」といったアドバイスがもらえるかもしれません。是非お子さんについて研究し、よりよい環境を提供してあげてください。


ハートライン沖縄クリニック 医師 院長 吉澤

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