言葉の理解が低いお子さんへの対応
ブログ 2023.02.23言語理解
前回「ワーキングメモリーが低いお子さんへの対応」についてお話させていただきました。今回からその他の指標の1つである「言語理解」が低いお子さんへの対応についてお伝えしていこうと思います。
言語理解とは文字通り、「どれぐらい言葉を正しく理解しているか」を反映している指標ですが、同時に「言葉を正しく使うことができるか」「言葉の意味を推測することができるか」という部分にも関係しています。WISCでは言葉の意味を尋ねたり、状況に応じたルールなどについて説明してもらうことで数値化していきます。
いじめにつながる可能性も・・・
私たちは日常的に言葉を使って意思疎通を行っていますので、子ども達も自然と言葉を学習していきます。皆さんも「いつ日本語が話せるようになりましたか」と聞かれたら、明確に答えることはできないと思います。それほど、スムーズかつ無意識的に学習することができていたのです。しかし言語理解が低いお子さんの場合はそうはいきません。言葉の習得が遅れてしまうと伝わらないもどかしさを感じたり、話していることが分からず人間関係が希薄になってしまう、場合によってはいじめのターゲットになる可能性があります。特に学校では30人程度の集団で授業が進んでいくため、置いていかれてしまうことも珍しくはないでしょう。
原因とは
ご家庭でこんなやり取りはありませんか。「さっきのあれ、やっちゃいなさいよ」と声をかけて返事が返ってくるものの、全くやるそぶりを見せない…。だんだんとイライラしてきてつい怒ってしまう…。決して珍しいことではありません。しかしそれももしかしたら言語理解の低さが原因なのかもしれません。
言語理解の低いお子さんは「こそあど言葉」を推察するのが苦手です。そのため「さっきとはいつのことか」「あれとは何のことか」がわからず、結果的に何をすればいいのかが理解できないためやらないという形になってしまうのです。ですのでいくら怒ったところで状況は変わりませんし、むしろ子ども達からすれば「よくわからないことで怒られた」という負の感情に繋がってしまうという悪影響しか及ぼしません。
親の話し方
言語理解が低いお子さんへの対応として、「具体的な言葉を使う」ことが挙げられます。先ほど説明したように、ことばの意味を推察することが苦手ですので、具体的な名称や場所、時間などを伝え、本人が理解できたか確認すると伝わりやすくなります。一度で完結させようとするのではなく、何度か説明してあげることも効果的です。
また、「確認してもいい空気感を作る」ことも大切です。皆さんも仕事や出かけた先で何をすればいいのか、どうすればいいのかわからなくなった時に、職場の人や店員さんがイライラしてたり忙しそうにしてたら聞きにくいですよね。それと同じで子ども達もなんとなく聞きづらさを感じているかもしれません。「わからないことは聞いてもいいんだ」と理解しているのとしていないのでは、学校や社会での過ごしやすさに大きな差があります。いつでも聞いていいこと、都合が悪い時にはあとで時間を作ることを伝え、聞かれたことに対しては手を止めてあげましょう。
言語理解が低いお子さんはなかなか周囲からの理解が得られず、「ふざけている」「わざとやらない」ととらわれることもあります。お子さんもわからない恥ずかしさからおどけてみたり、反抗的な態度をとることもあるでしょう。WISCをとって言語理解が低いとわかったからには支援につなげていかないともったいないです。日常生活のちょっとしたことでも改善してあげるとグッと暮らしやすくなりますので、ぜひ試してみてください。
改善をご希望される方は一度相談にお越しくださいね!
ハートライン沖縄クリニック 医師 院長 吉澤