抜毛症について
ブログ 2023.03.13毛を抜いてしまう
思春期を迎えるお子さんで時々、髪の毛やまつ毛を抜き続けてしまう方がいらっしゃいます。注意されてもやめることが出来ず、毛を抜きすぎて一部分が禿げてしまう。恥ずかしい思いをしているにも関わらず毛が生えてくるとまた抜いてしまう…。このような場合は「抜毛症」である可能性があります。
脱毛行為
抜毛行為は隠れて行うことが多く、身近な人が気づくのが遅れてしまいがちです。とある研究で抜毛行為が始まってから病院へ受診するのに10年程度かかってしまうことが報告されているほどです、また、本人自身も「一部分だけ禿げてしまって恥ずかしい」と感じていることが多いので、スカーフや帽子、前髪などで隠そうとするので、日ごろから注意深く観察していないと気づくのは難しいのです。では、お子さんの抜毛行為に気づいたとき、どうすればよいのでしょうか。
原因は?
抜毛する原因について話し合ってみましょう。たいていの場合強いストレスがかかった時に、ストレスから逃げる、いわば防衛手段のために抜毛を行ってしまいます。そのため「毛を抜くなんておかしい」「今すぐやめろ」と言ったとことで根本の原因が解決されないのでは意味がありません。本人が嫌なこと、気になっていることを話さないようでしたら、学校の先生をはじめとした周りの大人と情報を共有し、原因の解明・解決のために動きましょう。
医療機関への受診
医療機関への受診が必要です。抜毛症患者の中には、抜いた毛を飲み込み、体内で塊となって残り続けてしまうケースがあります。また、うつ病も併発する可能性があるので、専門家による治療が必須なのです。抜毛症の具体的な治療として薬物療法と心理療法が効果的とされています。
薬物療法では抗うつ薬を服薬することで、ストレスによって生じた不安感を低減させたり、「やめたいのにやめられない。どうして自分で自分をコントロールできないんだろう」などと悩むことで生じるうつ状態の改善に効果的です。
心理療法
心理療法では臨床心理士や公認心理師による認知行動療法によって、自分について見つめなおし、「どういった時に抜毛したくなるのか」について考えることで、そのような状況を避けて心の健康度を維持していくことや、抜毛でないストレスの発散方法を模索していくことで、自分自身で抜毛症と向き合って生きていく力を育てていきます。
冒頭でもお話ししましたが、抜毛症で一番困っているのはお子さん自身です。どうしてもやめられない、気付いたら抜いてしまっているという悩みから抜け出せないのです。彼らにとって抜毛は「生きるために必要な行為」となってしまっており、無理にやめさせるとさらにひどい状態になる危険性もあるのです。
そのため、周囲の大人のからの「やめたくてもやめられないんだ」「本人もつらい思いをしているんだ」という理解が必要不可欠です。抜毛症の背景を読み取り、寄り添い、適切な機関を紹介してあげることが、子ども達のよりよい生活に繋がっていくのです。
改善をご希望される方は一度相談にお越しくださいね!
ハートライン沖縄クリニック 医師 院長 吉澤