急に不登校になってしまうのはなぜ?
ブログ 2023.03.18急に不登校になってしまう
「起立性調節障害」。なんとなく聞いたことがある人も少なくないのではないでしょうか。不登校になってしまい、小児科に受診した子ども達の多くがこの診断を受けてきます。親御さんからすれば「障害を持っていたなんて気づかなかった」「これからどうすればいいのか」と不安になってしまいますよね。しかしご安心ください。起立性調節障害は命にかかわるような難病ではありませんし、改善したケースはたくさんあります。本日はこの起立性調節障害についてお話させていただきますので、原因と改善方法について理解を深めていただければと思います。
交感神経が原因??
私たちには交感神経と副交感神経というものがあります。誰かと競ったり争ったりする際には、気分を高めたり心拍数を上げて運動機能を高めたりする必要があり、その際には交感神経が強く働きます。逆にお風呂に入ったり、好きな音楽を聴いたりとリラックスしているときには副交感神経が強く働いています。この交感神経と副交感神経がバランスよく働くことで、私たちの生活にメリハリが生まれているのです。
変化の現れ
しかし、強いストレスがかかったり、不規則な生活を送っていると、この交感神経と副交感神経のバランスが崩れ、必要なときに頭が働かなかったり、ゆっくりしていても緊張してしまったりと、日常生活を送るのが難しくなってしまいます。起立性調節障害もそれと同じで、交感神経と副交感神経の働きが狂ってしまい、うまく血圧がコントロールできず立ち上がることが出来なかったり、どうしてかわからないけど心臓がドキドキしてしまい朝起きてから活動をすることが出来なくなってしまうのです。
朝起きることが出来ないので、学校に遅刻したり欠席してしまいます。熱が出たり体に異常があるわけではないので、親御さんや学校の先生は「怠けている」「さぼっている」と思いやすく、本人からしても「どうして朝起きれないのか」「どうして上手く出来ないんだろう」と考えすぎてストレスとなり、ますます病状が悪化するという負の連鎖に飲み込まれてしまうのです。
治療法
治療法には薬物療法と非薬物療法があり、主に非薬物療法が用いられています。内容としては、日光をきちんと浴びる「光療法」、食事を3食きちんととる「食事療法」、自律神経を正しく働かせる「運動療法」が挙げられます。つまり、きちんとした生活リズムとバランスの良い食事、適度な運動で症状が改善します。
それにプラスして親御さんの献身的なサポートが必要不可欠です。親御さんがサボりや怠けととらえていてはいつになっても改善しません。病気であることを受け止め、生活習慣確立のお手伝いをしていく必要があります。もちろんこれらは症状に対しての治療なので、根本のストレスにはいずれ向き合わなければなりませんが、それは症状が落ち着いてきたらでも遅くありません。
小学生の5%、中学生の10%が起立性調節障害だと言われています。そしてその大半が改善し、日常生活を問題なく送ることが出来ています。ですので、例えお子さんが起立性調節障害と診断を受けたとしても、悲観的になる必要はありません。皆さんの周りのお子さんで「起立性調節障害かも?」と思われたら是非医療機関にご相談ください。早期発見・早期治療がお子さんの将来につながっていきます。
今回の内容が、お子さんの状態の理解と改善のお手伝いとなれば幸いです。
改善をご希望される方は一度相談にお越しくださいね!
ハートライン沖縄クリニック 医師 院長 吉澤