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ブログ

心理検査とは? ~Vineland-II編~

ブログ 2023.03.30

Vineland-II適応行動尺度とは?

こんにちは!沖縄県那覇のデイケア施設ハートラインです!

今回はVineland-II適応行動尺度(以下Vineland)について紹介していきたいと思います。数年前から知名度を上げており、皆さんの中にもご存じの方もいらっしゃるかもしれませんね。

Vinelandはその名の通り、適応行動の度合いについて調べることができ、同年代と比べてどこに強みと弱みがあるのかを知ることができます。もちろん、適応行動は年齢によって異なります。例えばお金に関していえば、小学生では「硬貨の価値の違いがわかるか」中学生では「手持ちの金額を考えながら買い物ができるか」、高校生では「自分の預金を管理できるか」などの項目に分かれています。このようにVinelandでは「これぐらいの年齢なら、この程度の適応的な行動ができる」ということを調査・研究し、数値化することで、対象となる子ども達がどの程度、精神的に発達しているのかを割り出すことが出来ます。

今までは田中ビネーやWISCなどのウェクスラー式知能検査による知能指数が重視されてきましたが、その考え方が見直されています。

知能検査の結果

知能検査の結果、高い数値が出た方が必ずしも幸せとは限りません。記憶力に優れ勉強が大得意だとしても、周囲に友達がおらず生活力が低くては充実した生活を送っているとは言えないでしょう。反対に知的に低かったとしても、同じクラスや職場の人とおしゃべりをしたり、休日には家族と出かけおいしいものを食べている人の方が満足した生活を送っていると感じるかもしれません。

知能検査の結果だけでは「その人が実際の生活でどんなことに困っているのか」「どんな力を身につけなくてはいけないのか」についてまでは知ることが出来ません。困りごと、つまり不適応な部分は人によって様々です。「人とうまくコミュニケーションが取れず孤立している」という場合もあれば、「家事や自炊などが全くできず、実家から出ることが出来ない」という方もいるでしょう。適応行動にも得手不得手がありますので、知的水準と合わせて適応行動水準も把握することでより詳細な支援計画を立てることが出来ます。 

直接な手がかりをとる検査として

また、Vinelandの結果は直接的な支援の手がかりとして用いることが出来ます。17歳の子を対象に検査したとして、特定の領域の結果が7歳程度だったとします。先ほども説明をしたようにVinelandには「この年歳ならこの程度の適応行動ができる」という項目で構成されているので、支援のゴールを設定しやすいのです。先ほどのお金の例で言うと、本来ならば自分の預金など管理できてもいい年齢ですが、検査の結果小学生程度の適応行動水準だったときに、いきなり預金を管理させるのではなく、まずは硬貨の使い方から学んでいき、硬貨を使った買い物、おつりの計算、紙幣を使った買い物…といった具合にスモールステップで進めていくことで適応行動を高めていくことが出来ます。このようにVinelandではその人の生活について事細かに調べることで、対象者の強みと弱み、そして今後具体的に何をしていく必要があるのかについて考察することが出来るのです。

Vinelandは、これまで紹介してきたような田中ビネーやK-ABC2、そしてウェクスラー式知能検査とは異なり、お子さんが検査を受ける必要はありません。お子さんについてよく知っている方が受けることになります。主に保護者の方が受けることが多いのです。ですので、お子さんの抵抗感が強く外に連れ出すことが出来なくても大丈夫です。また、一問一答形式ではなく、会話の中で質問をしていくことでお子さんの全体像を調べていくので検査を受ける方の心理的な負担も少ないのが特徴です。対象年齢も広く0歳から90歳以上でも検査可能です。

田中ビネーやウェクスラー式知能検査と比べると取り扱っている機関は少ないかもしれませんが、子ども達の現状を多角的に調べることが出来るので、興味のある方は是非調べてみてください。

改善をご希望される方は一度相談にお越しくださいね!


ハートライン沖縄クリニック 医師 院長 吉澤

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