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お知らせ

心理検査 ~K-ABC2編~

お知らせ 2023.03.31

心理検査とは? 

前回に引き続き、心理検査について紹介していきます。今回はK-ABC2についてです。

 田中ビネーやWISCなどのウェクスラー式知能検査と比べると使用される頻度は少ないため聞いたことのある人は少ないかもしれません。単に知能指数を知りたいだけならK-ABC2はあまり使われないのかもしれませんね。

 ではどのようなときに使われるのでしょうか。それは「認知能力と基礎的学力の両方を見たい」ときに使用されることが多いです。K-ABC2は田中ビネーやウェクスラー式知能検査と異なり、「習得尺度」というものが採用されています。これは簡単に言ってしまうと学校で出されるような読み・書き・計算の問題を出題することで、お子さんが「何年生で習う内容を習得しているのか」を知ることが出来ます。

認知能力に問題ないのに…

 例えば、知的な認知能力には問題が見られないにもかかわらず、授業についていけないお子さんがいたとしましょう。このタイプは周りからは「やる気がない」「怠けている」と思われ、本人としてもできない自分を隠そうとして、「やろうとしていないだけだ」と強がることが多いです。そんなお子さんに対してK-ABC2を使用してみると、年齢に対して基礎学力がともなっていないことがわかります。検査中の態度や様子の観察からその背景を分析することもできます。背景になる要因はいろいろ考えられます。もしかしたら文字を読むのが困難である学習障害なのかもしれませんし、小学校低学年で習うような内容がごっそりと抜けていて理解が追い付いていないのかもしれません。

 原因がわかれば対策を取ることが出来ます。学習障害が原因だとすれば、授業中に配慮を求めることが出来ますし、現在ではタブレットなどのICT機器を用いて学習することが出来ます。低学年の内容が抜けているのであれば、加配の先生をつけてもらう、親子で予習の時間を作る、市販の問題集で低学年の内容を再確認するなどの工夫を行うことで改善していくでしょう。

検査内容とは?

 そんなK-ABC2ですが、「検査時間が長くなり、子どもへの負担が大きくなる」という側面もあります。K-ABC2は田中ビネーやウェクスラー式知能検査と同様に認知能力を測定する問題にプラスして基礎学力を測定する問題があるので、他の検査と比べ課題の数が多く、それだけ時間がかかってしまいます。K-ABC2はウェクスラー式知能検査を併用することが出来るので、認知能力はウェクスラー式知能検査で測定して、習熟尺度はK-ABC2で測定するということもできますが、できるならK-ABC2のみのデータを取った方がよいでしょう。

また、基礎学力を測定する「習得尺度」を実施することに抵抗感を示すお子さんもいらっしゃいます。見知らぬ場所で見知らぬ人から自分の苦手な問題を出されるのですから無理もありません。スムーズに検査を行いつつ、子どもへの負担を軽減させる雰囲気づくりが必要になってくるので、K-ABC2は熟練度の高い専門家が行う必要があります。

K-ABC2を実施している機関は少ないかもしれませんが、田中ビネーやウェクスラー式知能検査ではとらえられない側面も知ることが出来ます。学習面で遅れが出たり、なかなか授業に向き合おうとしないお子さんの場合は、検査を受けてみるのも1つの手なのではないでしょうか。

改善をご希望される方は一度相談にお越しくださいね!


ハートライン沖縄クリニック 医師 院長 吉澤

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