発達障害の子どものこだわり行動への適切な対応とは?
ブログ 2025.07.18
沖縄県那覇市にあるハートライン沖縄クリニックの院長、心療内科医の吉澤です。今回は、「発達障害の子どものこだわり行動への適切な対応とは?」についてお話をしていきます。
目次
- 発達障害の子どもに多く見られる「こだわり」とは
- こだわりは「困った行動」ではなく「安心の証」
- 親がとるべき最初の対応は「否定しないこと」
- 無理にやめさせようとするとどうなるか
- 「こだわりの裏にある理由」を知ろう
- こだわりを活かした関わり方とは
- 周囲との軋轢が生まれたときの対応方法
- 最後に
発達障害の子どもに多く見られる「こだわり」とは
発達障害のある子どもたちに見られる特徴の一つに、「こだわり行動」があります。たとえば、毎日同じルートで登校したがる、特定の食べ物しか食べたがらない、洋服のタグの感触を嫌がる、テレビの音量は常に同じでなければ落ち着かないなど、一見すると些細なことに強い固執を見せることがあります。こうした行動は、その子の特性や感覚の違いによって生じているものであり、親としてはどう対応すればよいか迷ってしまうことも多いでしょう。
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こだわりは「困った行動」ではなく「安心の証」
まず大切にしたい視点は、「こだわり=困った行動」ではないということです。こだわりの多くは、その子にとっての“安心”を保つための行動です。周囲の環境が変化したとき、不安が高まったとき、知らないことに直面したとき、自分の中でコントロールできる何かを保とうとする――それがこだわりとして現れるのです。つまり、こだわり行動はその子が不安と向き合い、なんとか自分を保とうとしている証拠とも言えます。
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親がとるべき最初の対応は「否定しないこと」
こだわりが見られたとき、親としてまず意識したいのは「否定しないこと」です。「どうしてそんなことにこだわるの?」「普通にしなさい」と言いたくなる気持ちはわかりますが、それは子どもにとって「自分が受け入れてもらえていない」というメッセージになってしまいます。まずは、「この子はこの行動を通じて安心しようとしているんだ」と理解するところから始めてみましょう。そのうえで、どこまで受け入れられるかを、家庭の中で話し合ってみることも大切です。
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無理にやめさせようとするとどうなるか
「このままだと将来困るのではないか」「社会に出てから苦労するのでは」と心配し、こだわりを無理にやめさせようとする親御さんもいらっしゃいます。しかし、急にこだわりを取り上げられると、子どもは強い不安を感じてパニックになってしまうことがあります。反発が激しくなり、かえって親子の関係がぎくしゃくしてしまうこともあります。こだわりを減らしたいときは、段階的に、そして子どもの理解と安心がともなうようにサポートしていくことが重要です。
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「こだわりの裏にある理由」を知ろう
こだわり行動には、その子なりの理由があることが多いものです。たとえば、洋服のタグが気になるのは感覚過敏が背景にあるかもしれませんし、同じ順番で物事を進めたがるのは予測不能な変化が苦手だからかもしれません。こうした「なぜこの行動にこだわるのか?」という理由を丁寧に見つめていくことで、対応の方法も変わってきます。子どもに直接理由を聞くのが難しい場合でも、普段の様子を観察し、記録をつけながら理解を深めていくことが有効です。
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こだわりを活かした関わり方とは
こだわりを完全になくそうとするのではなく、「こだわりを活かす」という視点も大切です。たとえば、特定の電車や恐竜に強い興味を持っているなら、それをきっかけに図鑑を読んだり、情報をまとめたり、社会性のある活動へとつなげていくこともできます。こだわりは時として“集中力”や“探究心”の表れでもあります。その方向性を工夫することで、学びや成長のきっかけに変わることがあります。
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周囲との軋轢が生まれたときの対応方法
園や学校、習い事などで、子どものこだわりが周囲とトラブルになることもあるかもしれません。そうしたときは、担任の先生や支援員とよく話し合い、子どもにとっての「落としどころ」を一緒に探していきましょう。完全にこだわりを消すのではなく、他の人が困らないように配慮しながらも、子ども自身が納得できる方法を考えることが大切です。支援が必要な場面では、医療や福祉の専門機関との連携も心強い味方になります。
最後に
発達障害の子どもの「こだわり行動」は、困ったこととして捉えられがちですが、実は子どもなりの不安を和らげる工夫であったり、強い興味や安心感の現れであったりします。大人がその背景に目を向け、頭ごなしに否定せず、理解とサポートの姿勢で向き合うことが大切です。こだわりは子どもの個性の一部であり、それをうまく活かしていくことで、子ども自身の自信や成長へとつながる可能性も広がっていきます。家庭だけで抱え込まず、支援機関や専門家と連携しながら、子どもにとって最も安心できる関わり方を見つけていきましょう。
以上、ハートライン沖縄クリニックの院長、吉澤でした。
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