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周囲とズレて見える子に潜む“発達の特性”とは?那覇の心療内科医が解説

ブログ 2025.08.15

沖縄県那覇市にあるハートライン沖縄クリニックの院長、心療内科医の吉澤です。今回は、「周囲とズレて見える子に潜む“発達の特性”とは?那覇の心療内科医が解説」についてお話をしていきます。

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目次

  1. 「ズレて見える子」はなぜ気になるのか
  2. 困っているのは“本人”か“周囲”か
  3. 見えにくい発達の特性とは?
  4. 沖縄の学校・家庭で見られる具体的なサイン
  5. 子どもを“診断”ではなく“理解”から見つめる大切さ
  6. 最後に

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「ズレて見える子」はなぜ気になるのか

保護者の方や先生からよく聞かれる言葉のひとつに、「あの子、他の子とちょっと違う感じがするんです」というものがあります。授業中に立ち歩いてしまう、空気を読まずに話し続ける、突然泣き出す、列に並べないなど、いわゆる“みんなと同じようにできない”行動が目立つ子どもに対して、周囲が違和感を覚えることは自然なことです。けれども、その「ズレている」という印象の裏には、実は本人もコントロールできない“発達の特性”が潜んでいる場合があります。ただ「変わった子」や「手がかかる子」として対応してしまうと、子どもはますます自己肯定感を失ってしまいます。まずはその“ズレ”の背景に、脳の働き方や発達段階の個性が関係している可能性に目を向けることがとても大切です。

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困っているのは“本人”か“周囲”か

発達障害は、医学的には神経発達症と呼ばれ、脳の情報処理や感覚の受け取り方に偏りがあることが特徴です。ただしこれは“病気”というより、“脳の使い方がその人なりに独特”という状態であり、環境や関わり方次第で困りごとが減ることも多くあります。では、本人は本当に困っているのでしょうか。答えはケースバイケースです。本人は自分の行動がなぜ問題視されるのか分からず、混乱したり傷ついたりしていることが多くあります。一方で、周囲が「扱いづらい」「指導が難しい」と感じているだけで、本人はさほど苦しんでいないということもあります。どちらにしても、“困っているのは誰か”という視点は、支援や声かけの在り方を考えるうえで、とても重要な視点になります。

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見えにくい発達の特性とは?

発達障害と一言で言っても、その特性は非常に多様です。注意欠如・多動症(ADHD)の場合、集中力の維持が難しかったり、落ち着いて座っているのが困難だったりします。自閉スペクトラム症(ASD)の場合は、人との距離感が独特だったり、場の空気を読むのが苦手だったりします。これらの特性は、見た目にはまったく分かりませんし、表面的には“わがまま”や“しつけの問題”に見えてしまうこともあります。そのため、保護者や教師が「普通の子と同じように接していれば、きっとできるはずだ」と思い込み、叱責や指導を強めてしまうことも少なくありません。けれども、これは大人の期待と子どもの特性との間に“見えない壁”が存在している状態です。その壁に気づかないままでいると、子どもは「自分はダメな子なんだ」と誤解し、自己否定感を深めていくことになります。

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沖縄の学校・家庭で見られる具体的なサイン

沖縄の学校現場やご家庭では、独特の地域性も関係して、発達の特性が“個性”として受け入れられる傾向もある一方で、誤解されやすい場面も多々見られます。たとえば、先生の話を聞いていないように見える子が、実は音や光に敏感すぎて、教室内の雑音で集中できていないだけだったというケースがあります。また、保護者が「うちの子はおっとりしていて周りについていけない」と感じていたら、実は言葉の理解に時間がかかる特性があった、ということもあります。沖縄では地域のつながりが深いため、親戚や近所の人から「昔はそんな子もいたよ」と言われ、様子を見ることを選ぶケースも多くあります。しかし、見守ることと放置することは違います。違和感を覚えた時点で、一度専門家に相談してみることは、決して過剰反応ではありません。

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子どもを“診断”ではなく“理解”から見つめる大切さ

診断という言葉には、時に重たさやラベルのような印象がついて回ります。しかし本来の目的は、「何ができないか」ではなく、「どうすればできるようになるか」を一緒に探るための“道しるべ”です。子ども一人ひとりの発達には大きな個人差があり、いわゆる定型発達との違いはグラデーションの中にあります。そのため、診断がつくかどうかよりも、“今、何が得意で何が苦手か”を理解し、その子に合った接し方や支援の工夫をしていくことが、何より大切です。私たち専門家も、医療という枠だけで子どもを見ているわけではありません。家庭や学校、地域でどう関わっていけるかを一緒に考えていく存在でありたいと願っています。診断よりも理解を。ラベルよりも寄り添いを。その視点が、子どもたちの未来を大きく支えていきます。

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最後に

「周囲とズレて見える子」には、その背景に必ず何かしらの意味や理由があります。それは、しつけの問題でも、性格のせいでもなく、脳の発達の特性によって現れている行動である場合が多くあります。大切なのは、子どもたちの“困っているサイン”を見逃さず、周囲の大人が「どうすればこの子が安心して過ごせるか」と考える視点を持つことです。支援とは、何かをしてあげること以上に、理解しようとする姿勢から始まります。もしご家庭や学校で「この子、ちょっと他の子と違うな」と感じる場面があったなら、その直感を大事にしてください。そして、誰か一人で抱え込まず、信頼できる相談先を見つけることが、子どもを支える第一歩になります。発達の特性は、その子が生まれ持った大切な一部です。私たちはその特性を否定するのではなく、活かしながら伸ばしていくためのサポートを、地域と共に続けていきたいと考えています。

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以上、ハートライン沖縄クリニックの院長、吉澤でした。
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