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発達障害は病気?性格?──境界線をわかりやすく整理します

ブログ 2025.08.22
発達

沖縄県那覇市にあるハートライン沖縄クリニックの院長、心療内科医の吉澤です。今回は、「発達障害は病気?性格?──境界線をわかりやすく整理します」についてお話をしていきます。

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目次

  1. 発達障害という言葉の広がりと誤解
  2. 「性格」との違いはどこにある?
  3. 「病気」なのか「個性」なのかという視点
  4. 発達障害の診断は何のためにあるのか
  5. 境界線よりも“支援の形”を大切に
  6. 最後に

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発達障害という言葉の広がりと誤解

近年、「発達障害」という言葉がメディアやインターネットを通じて広く知られるようになりました。それに伴って、自分の子どもや身近な人について「もしかして発達障害なのでは?」と疑問を持つ方も増えています。しかし、その一方で「発達障害って病気なの?それとも単なる性格の違い?」という混乱も生まれています。確かに、言動や感情表現に独特の傾向があるだけでは、すぐに発達障害と判断することはできません。情報が氾濫する今だからこそ、医療としての視点と、生活者としての実感の両方から、発達障害という概念を丁寧に整理していく必要があります。

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「性格」との違いはどこにある?

子どもの発達や行動には、本来大きな個人差があります。落ち着きがない子もいれば、慎重すぎる子、話し好きな子、マイペースな子もいます。これらは一見すると、すべて「その子らしい性格」として受け入れられがちですが、その中に、社会生活や集団行動に継続的に支障が出るほどの傾向がある場合、私たちは「発達の特性」として注目します。たとえば、忘れ物が極端に多かったり、指示を何度聞いても理解できなかったり、人との距離感が極端に近すぎる、または離れすぎるといった場合には、性格というよりも、脳の情報処理の違いが関係している可能性があります。この「日常生活にどれだけ影響が出ているか」という視点が、性格との違いを見極める大きなポイントになります。

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「病気」なのか「個性」なのかという視点

医学的には、発達障害は「神経発達症」として分類されます。これは、脳の発達や働き方に偏りがあるために、行動やコミュニケーション、感覚の受け取り方などに独特な傾向が見られる状態を指します。しかしこの「障害」という言葉に、どうしてもネガティブなイメージを抱かれる方が多いのも事実です。「うちの子は病気なの?」「性格的な問題じゃないの?」といった混乱が生じるのは、この言葉の印象に引っ張られてしまうからです。大切なのは、発達障害を“治すべき病気”と捉えるのではなく、“特性に応じた支援が必要な状態”と捉えることです。つまり、発達障害は病気であるかどうか以前に、その人のあり方の一部であり、環境や周囲の理解によって、大きく生きやすさが変わる性質を持っています。

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発達障害の診断は何のためにあるのか

発達障害の診断は、本人の特性を明らかにするための“道しるべ”です。診断があることで、教育現場や福祉サービスにおいて適切な支援が受けやすくなるという側面があります。反対に、診断がなければ支援を得にくい仕組みがまだまだ残っている現状もあり、そのために診断を求める保護者も少なくありません。ただし、診断がゴールではありません。診断はあくまで出発点です。その子の「得意」「苦手」「困っていること」を具体的に整理し、どうすればより良く育ちやすくなるかを一緒に考えていくための手がかりです。つまり、診断が「この子はこういう人間だ」と決めつけるためではなく、「この子はこういう特性があるから、こう接するとよい」という理解と関わりのスタートラインなのです。

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境界線よりも“支援の形”を大切に

「病気か性格か」という二択にこだわってしまうと、本来必要な支援や工夫の機会を逃してしまうことがあります。たとえば、診断には至らないけれども、明らかに集団生活に困難が見られる子どもに対して、「病気じゃないから支援はいらない」と考えてしまうと、その子は孤立しやすくなります。逆に、診断がついているからといって、画一的な支援を押し付けるだけでは、その子の力を引き出すことにはつながりません。重要なのは、“今、その子が何に困っていて、どんなサポートが必要か”を一人ひとりの状況に応じて柔軟に考えることです。つまり、「病気か性格か」という境界線にとらわれるよりも、「どんな環境でこの子は力を発揮できるのか」「何が生きづらさの原因になっているのか」に目を向けることの方が、はるかに建設的なのです。

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最後に

発達障害は、“性格”とも“病気”とも言い切れない領域にあります。だからこそ、画一的なラベルではなく、個別の理解と対応が求められます。本人の感じている生きづらさ、周囲の困り感、それぞれの視点を尊重しながら、どうすれば安心して過ごせるかを一緒に考えていくことが大切です。発達障害の診断や特性は、その人のすべてを決めるものではありません。むしろ、それは出発点であり、関わり方を見直すヒントでもあります。ご家族や教育関係者、地域社会の一人ひとりが、「この子はこういう特性があるんだ」と知り、そこからどう接すればよいかを考える視点を持てば、子どもたちはもっと自分らしく生きていけるはずです。発達障害という言葉に振り回されず、その奥にある“ひとりの人”としての姿を見つめることが、支援の第一歩です。

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以上、ハートライン沖縄クリニックの院長、吉澤でした。
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