発達障害診療ならメトキッズグループ

TEL
電話でお問合せ

098-959-6424

電話受付

10:00~16:00(月~土)
(第2週、第4週の木曜を除く)
受付は南風原で行っています。

menu

close

* *

ブログ

発達障害グレーゾーンの子どもが抱える“見えないしんどさ”とは

ブログ 2025.10.24

沖縄県那覇市にあるハートライン沖縄クリニックの院長、心療内科医の吉澤です。今回は、「発達障害グレーゾーンの子どもが抱える“見えないしんどさ”とは」についてお話をしていきます。

目次

  1. 発達障害グレーゾーンとは何か
  2. 「診断がつかないけれど困っている」子どもたち
  3. 見えにくい“しんどさ”の具体例
  4. 周囲に誤解されやすい理由
  5. 学校や家庭で起こりやすい影響
  6. 支援が届きにくい構造的な問題
  7. 子どもを支えるためにできる工夫
  8. 社会として大切にしたい視点
  9. まとめ

1. 発達障害グレーゾーンとは何か

「発達障害グレーゾーン」とは、発達障害の診断基準を完全には満たさないものの、生活の中で困難さを抱えている状態を指します。発達障害は、注意欠如・多動症(ADHD)や自閉スペクトラム症(ASD)など複数の診断に分かれますが、診断の有無だけで「生きやすい」「生きにくい」が決まるわけではありません。診断名がなくても、日常生活の中で苦労している子どもは少なくありません。

このグレーゾーンにいる子どもたちは、周囲から「診断がつかないなら問題ない」と見なされがちですが、実際には確かに“生きづらさ”を感じていることが多いのです。

2. 「診断がつかないけれど困っている」子どもたち

診断を受けられない子どもたちは、学校生活で「普通にやればできるはず」と期待されやすくなります。しかし、本人にとっては、課題に取り組むために膨大なエネルギーを使っており、表面上はできていても、内側では強い疲労や緊張を抱えているのです。

例えば、授業中に静かに座っていられるけれど、頭の中では注意が散漫で内容が十分に理解できていない子がいます。周囲からは「落ち着いている」と見られても、本人は理解できない焦りや劣等感を抱いていることがあります。

3. 見えにくい“しんどさ”の具体例

グレーゾーンの子どもたちが抱えるしんどさは、外からは分かりにくいことが特徴です。例えば、音や光に過敏で教室にいるだけで疲れてしまう、友達との会話で言葉のニュアンスを読み取りにくく居心地が悪い、忘れ物が多く注意されるがどう改善してよいか分からない、といったことがあります。

こうしたしんどさは、外から見ると「ちょっと不器用なだけ」「努力不足」と見なされがちですが、本人にとっては日常生活の中で大きな負担となっています。

4. 周囲に誤解されやすい理由

なぜグレーゾーンの子どもたちが誤解されやすいのでしょうか。その理由の一つは、周囲から見た「できている姿」と、本人の内面の苦労とのギャップです。

「静かに座っているから大丈夫」「成績が悪くないから問題ない」と判断されることがありますが、実際には多大な努力や緊張のうえで成り立っていることがあります。このギャップが、子どもたちの苦しみを“見えないもの”にしてしまうのです。

5. 学校や家庭で起こりやすい影響

学校では、グレーゾーンの子どもが「怠けている」「やる気がない」と誤解され、叱責を受けやすくなります。家庭では、兄弟姉妹と比べられたり、「普通にやればできるのに」と言われたりすることがあります。

このような繰り返しは、子どもの自己肯定感を低下させ、二次的に不安障害や抑うつ傾向を引き起こすこともあります。大人から見て「小さなこと」の積み重ねが、子どもにとって大きな心理的負担になるのです。

6. 支援が届きにくい構造的な問題

現状の教育や医療制度では、診断基準を満たさなければ支援にアクセスしにくいという課題があります。そのため、グレーゾーンの子どもは「サポートを受けられないのに困っている」という二重のしんどさを抱えやすくなります。

また、教師や保護者の理解が十分でない場合、「診断がついていないのだから特別扱いはできない」と言われてしまうこともあります。これが、支援が届かない現実を生んでいるのです。

7. 子どもを支えるためにできる工夫

大切なのは、診断の有無にかかわらず「その子が困っているかどうか」に目を向けることです。例えば、集中しやすい席に座らせる、課題を小さなステップに分ける、忘れ物を減らす仕組みを一緒に考えるといった環境調整が有効です。

また、本人が安心できる「逃げ場」を作ることも大切です。教室や家庭の中で、短い休憩ができる場所や安心して話せる人の存在は、子どもの心理的安全を守ります。

8. 社会として大切にしたい視点

私たちが社会全体で意識すべきことは、子どもたちの多様性を前提にした関わり方です。「普通にできるはず」という基準を押し付けるのではなく、「その子のペース」でできる環境を整えることが必要です。

また、教育現場だけでなく地域や家庭、医療機関が連携し、子どもの見えにくい困難に気づき支える仕組みを作ることが、これからの課題だと言えるでしょう。

9. まとめ

発達障害グレーゾーンの子どもたちは、診断名がつかないがゆえに支援から漏れやすく、見えないしんどさを抱えていることが少なくありません。本人の努力によって表面上は「できている」ように見えても、その裏側では強い疲労や不安を抱えていることがあります。

大切なのは、診断の有無ではなく「今、どのように困っているのか」に注目することです。環境を工夫し、理解ある支援を重ねることで、子どもたちは安心して自分の力を発揮できるようになります。

以上、ハートライン沖縄クリニックの院長、吉澤でした。
何かご相談がございましたらご気軽にご相談ください。
LINE相談はこちらから
https://lin.ee/dzElMLj
.
初診受付はこちらから
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSf1gNr9-m8ZixPcKV-RiJd2dyEgNi80gWYHGnTRKGfAqQfm0A/viewform
https://okinawa-daycare.com/contact/

* *
* *