選択性緘黙とは、一部の特定の環境や特定の人の前で1ヶ月以上話すことが難しい、または完全に話すことができないお子さんたちに診断される状態です。
家族や親しいお友達の前では普通に話せますが、学校や公共の場では話せないことが多いようです。
選択性緘黙
選択性緘黙とは?
- 何歳くらいで発症するの?
選択性緘黙の発症年齢は、一般的に幼児期から始まるとされています。多くの場合、2歳から4歳の間に症状が現れることが多いですが、一部のお子さんではさらに早い年齢で症状が発現することもあります。発症年齢には個人差があり、正確な年齢は一概には言えませんが、この幼児期に症状が現れることが一般的です。幼児期から学童期にかけて、幼稚園、保育園、小学校などの社会生活が始まると、周囲が意識されるようになります。教科書を音読したり、教室で発言することが難しいため、言語習得の遅れやコミュニケーション能力の低下による評価低下などの問題があります。
授業に支障がないため、周囲が気づかず、人見知りや内気など性格の問題として放置してしまうケースもあるようです。
選択性緘黙の原因はまだ完全には解明されていませんが、遺伝的な要因や脳の発達に関連する要素が関与している可能性があります。また、心理的な要因や環境的な要素も関係していると考えられています。選択性緘黙の発症には複数の要因が組み合わさることがありますので、個別の症例ごとに慎重な評価が必要です。選択性緘黙は、早期に適切なサポートや治療を受けることで改善が見込まれます。
選択性緘黙の原因
神経学的要因
選択性緘黙の原因として、脳の神経回路の発達や機能に関する問題が考えられます。脳の特定の領域の活動の異常や神経伝達物質のバランスの変化が関与している可能性があります。
環境要因
選択性緘黙は、特定の状況下での発話の抑制という特徴を持ちます。緊張やストレス、過度の刺激など、環境要因が原因となることもあります。また、過保護な家庭環境やコミュニケーションの困難な状況も選択性緘黙の原因となる可能性があります。
心理社会的要因
選択性緘黙の背後には、個人の心理的要因や社会的要因も関与しています。自己意識の高さや自己評価の低さ、人間関係のトラブル、心的外傷などが選択性緘黙の原因となることがあります。
選択性緘黙の症状
話さないこと
お子さんは特定の状況下で沈黙を保ち、言葉を発しないことがあります。このため、学校や他の人々との交流が困難になることがあります。
非言語コミュニケーションの制限
選択性緘黙のお子さんは、言葉によるコミュニケーションだけでなく、ジェスチャーや表情などの非言語的なコミュニケーションも制限される傾向があります。
焦点の固執
選択性緘黙のお子さんは、特定の興味や活動に対して強い関心を持ち、それに没頭することがあります。このため、他の人々との関わりが減り、孤立することがあります。
選択性緘黙の診断
選択性緘黙の診断には、さまざまな要素が考慮されます。まずは、お子さんが一般的な場面や人々とのコミュニケーションにおいて問題を抱えているかどうかを確認するために、詳細な面接が行われます。また、環境の変化やストレス要因など、症状が現れる背景になる要素も把握する必要があります。
選択性緘黙の診断においては、他の症状や障害との鑑別も重要です。例えば、自閉症スペクトラム障害や社交不安障害といった状態との違いを明確にすることが求められます。そのため、綿密な観察や専門的な評価が必要となります。
診断の後は、選択性緘黙に対する適切な支援や治療計画が立てられます。個々の症状やニーズに応じて、心理療法や行動療法、社会的なスキルの訓練などが行われる場合があります。家族や学校との連携も重要であり、継続的なサポートが必要です。
選択性緘黙の治療
サポートと理解の提供
選択性緘黙を抱えるお子さんたちに対しては、サポートと理解が重要です。学校や家庭での環境を整え、ストレスを軽減することが求められます。教育者や家族は、お子さんたちのコミュニケーションスキルの発展を促すために、サポートを提供することが重要です。
心理療法
心理療法は、選択性緘黙の治療において有効な手段として知られています。認知行動療法や行動療法などのアプローチが使用され、お子さんたちが自信を持ってコミュニケーションをとることができるようサポートします。環境への慣れや社会的なスキルの向上を目指すことで、症状の改善が期待されます。
薬物療法
薬物療法は、選択性緘黙の治療において補助的な役割を果たす場合があります。特定の症状や合併症に対して処方されることがありますが、個々の症例に応じて適切な薬剤を使用する必要があります。薬物療法は、他の治療法と併用されることが一般的です。
選択性緘黙のお子さんに対するサポート
選択性緘黙は、成長とともに改善することもありますが、必ずしも自然に治るとは限りません。適切な治療と支援が重要です。選択性緘黙のお子さんたちは、周囲の理解と支援によって、自信を持ってコミュニケーションができるようになり、日常生活での不安も克服できるようになります。
お子さんが選択性緘黙だと思われる場合は、専門家に相談されることを強くお勧めします。選択性緘黙は適切な対応を受けることによって、症状が改善できると言われています。そのためには、まずその存在を理解し、お子さんが抱く不安や恐怖を理解することが必要です。お子さんが話しやすい場所や相手を知り、お子さんにとって適切な支援を考えましょう。医師だけではなく、学校でも理解者を増やし、周囲と協力し、お子さんが安心できる環境を作ることが大切です。
選択性緘黙の症状があるお子さんたちは、自分たちの声を見つけ、自信を持って世界に向き合う力を持っています。それぞれのお子さんがその力を発揮できるように、我々大人がサポートしていきましょう。